心中天網島  11月文楽劇場 第1部

ダメ男ほどなぜモテる。
曽根崎心中の醤油屋の徳兵衛はエロティックで一途やけど、
心中天網島の紙屋治兵衛にそんな魅力はない。
勘十郎の人形遣いは、
その浅はかで薄っぺらでキンタマ小さい男の
性根をやり過ぎぐらいにわからせてくれる。

走り書き、謡の本は近衛流。野郎帽子は若紫、
悪所狂ひの身の果ては、かくなりゆくと定まりし。

道行名残の橋づくし
大江橋、難波小橋、堀川、八軒屋、天満橋、
近松のリズムで道急ぐ。
この辺りで生まれ育った身としては
リアルに映像が浮かんでくるから面白い。