利休であれば、名物を有難がる価値観を否定して
一気に<わび茶>につきすすんだ10年間の具体的な
動きを知りたい。
民芸運動であれば、柳宗悦が雑器、職人をどう紹介したか、
関東大震災後の10年の展開を知りたい。

直島であれば、目にしている。
みるみるうちに世界的な瀬戸内芸術祭に。
ベネッセハウスのオープン直後から宿泊している。
しかし、同時代にみてきたはずの現代アートの動きも
もはや証言者によって大きくちがってきている。

『直島誕生』はこの画期的な美術運動の初期、
1991年から2006年までの15年間に絞った
秋元雄史によるドキュメント。
作品、作家をみてきているだけに、面白みは10倍増。
アートの本にもかかわらず、写真紹介が皆無。
権利問題が絡んだ故のことだろうが、
結果として、文章のみが読み手を引きずり込む。