<世沙弥>では出迎えや食事後半の気分転換に和蝋燭を 灯す。炎がゆらぐたび闇の質が変わる。これが洋蝋燭に ない魅力。谷崎潤一郎『陰翳礼賛』をひくまでもない。 融点が低く熱くないのも特徴。谷崎はプレイに使ったか? http:
カテゴリー: セサミ日記
『愚か者』 : 車谷長吉
自分自身をとことん晒し者にする<覚悟>とそこまで追 いつめなならん<業>。生きることの底深い<因果>を 鈍器でしたたかにどやしつける短編が並ぶ。飾磨郡あた りの生家が舞台 であれば、本を置いてしばし身震いが。
桂雀三郎 : ジ オープン寄席
20人のスペースで、雀三郎を聞くための手作り寄席。 枝雀の面白がらせが痛々しゅうてパス、その系統も敬遠。 ところが雀三郎はどうもその正反対。飾り気のない素の 人間性が上方落語の登場人物にしっくりおさまるのが芸。 
筑豊ラーメンばさらか
九州出張。豚骨スープと紅しょうが。辺鄙ないなかでも ラーメンがうまいのは炭坑があったから。盛り上がる肩 に真っ黒な玉汗をころがせて寡黙な男たちが無骨な手で 鉢をわしづかみでかっこむ。替玉はもちろん<バリ固>。 http:
『うめめ』 : 梅佳代
ほたえ、いちびり、てんごしてる悪ガキどもが被写体と なってるからてっきり大阪と思いこんでいたが、この写 真家は石川出身で舞台は東京でした。大阪のどツボ、鶴 橋出身の森村泰昌の変化球体質がやっぱり大阪的なんか。 http:
『信長の朝ごはん 龍馬のお弁当』:俎倶楽部編
卑弥呼から宮沢賢治にいたるまで歴史上の人物の食い物 エピソード。<はちみつ>は飛鳥時代にはなく平安から。 日本の食文化としてもっと注目されていい調味料。ごま との相性もよく『ごまの秘蜜』は<大人組>掲載で好評。 &nbs
やまよし : 駅の鰻
タクシーの運転手さんに聞いた。<駅のうなぎ屋>が名 前で、そのとおり駅の切符売場の小窓と間違う。もし死 刑執行前夜であれば鰻の白焼きを所望する覚悟でいるが、 ここの鰻に出会ったらもう振りかえる人生に悔いはない。 http
歌集『花柄』 : 魚村晋太郎
「ポケットにゆうべの札があつてその札で買ふ朝の真水 を」「映像を公開されて出頭する夜明けをおもふ 靴を 履くとき」。あとがきに<普段、私は花柄のシャツなど 着ることがない>。出会い頃、黒地に花柄アロハの印象。 http:
キャトル・セゾン : 浜名湖
猩猩緋の日没を見送り、曙色の日の出に目覚める。施設 は国民宿舎レベルで期待しない分、発見がいっぱい。デ ィナー、トマトのムースは天下一品。掛川の石山農園。 朝食の地元野菜のポトフはこれだけのために泊まる価値。 http:
『なにわ大阪食べものがたり』:上野修三
旬の食材と俳句を歳時記より活き活きと織り交ぜながら、 しかも毎回簡単なレシピが。文章にしにくい大阪弁が見 事。香(かざ)、余計(よおけ)の表現も嬉しい。「食 は戦いでっせ」と浪速割烹を鼓舞し続ける。大阪の誇り。 http