1・31
船上生活(ペ二シエ)羨しや船底の冷えさへも : 中原道夫
〜〜のぞいてはだめ想定の外
1・30
丁寧に電話を終えて親指は蜜柑の尻に穴をひろげる : 虫武一俊
〜〜蟻地獄蟻の戸渡り蝶の舞い
1・29
湯豆腐を東西南北からつつく : 大高翔
〜〜国士無双で小鼻が開く
1・28
過労たる夫は死肉のにおいせり色濃き野菜を夜に食わすれど : 富田睦子
〜〜着ぐるみを通勤用に買い揃え
1・27
滝凍てて夜な夜な途方もない配膳 : 田島健一
〜〜行方不明の仲居がひとり
1・26
棺には付いてゆかずにしゆるしゆると啜りゐたりき貝の味噌汁 : 石川美南
〜〜エンタシスの貝柱には板春雨