2・5
調理場に男子ひたりの並びゐて魚を捌けるーー数キナ景色ダ : 田中槐
〜〜解剖の苦手な奴がシェフになり
2・4
壺焼に炎の先の触れにけり : 小野あらた
〜〜螺旋の奥に眠る少年
2・3
にはとりは恐竜の裔(すゑ)うつくしき恐竜族の胸ひらきゆく : 睦月都
〜〜手羽先が五臓で爪をのばしたる
2・2
生れたのが死因なのですおでん酒 : 丹野敦雄
〜〜一気喰いすれど誤飲できず
2・1
割きし朱欒の果肉の粒の薄ら汗まなこ瞠き死に歩みよる : 塚本邦雄
〜〜生暗く死に死に死んで死の冥し