【 タイム食句】 07・26〜07・31

7・31
手から手へわたるバナナのやはらかな果肉に刻まれる未来史が : 塚本邦雄
〜〜放おっておけば書き散らす魔王の書記

7・30
死の話少しだけして冷素麺 : 浅川芳直
〜〜茗荷が忘れて恨みを残す

7・29
嫁として帰省をすれば待つてゐる西瓜に塩をふらぬ一族 :  本多真弓
〜〜次男です、それだけで危機乗り越えて

7・28
音楽で食べようなんて思うな蚊 : 岡野泰輔
〜〜低空飛行で生きると決めた

7・27
冷蔵庫の麦茶を出してからからと砂糖溶かしていた夏の朝 : 穂村弘
〜〜アルマイト麦茶冷やすは井戸水で

7・26
白玉と待たされてゐる四畳半 : 鈴木鷹夫
〜〜ネクスト感に息詰まるとき