9・5
わたくしが切り落としたいのは心 葡萄ひと粒ずつの闇嚥む : 大森静佳
〜〜種無しの不実を責める目隠しで
9・4
うつくしや野分の後のたうがらし : 蕪村
〜〜信号垂れて三色の実を
9・3
桃食めばひとつの種が残りたり 考えていることがあるのだ : 萩原慎一郎
〜〜合掌の形をまねている食後
9・2
鳥食みに似てひとりなる夜食かな : 能村登四郎
〜〜カップかチンか二者選択で
9・1
父の眼底出血、無花果の結実、終末の相ふたつとも慶し : 塚本邦雄
〜〜デスマスクに過去世の見ゆるコンタクト