ハンマースホイの孤独の窓

ハンマースホイの窓は、
みがかれてるんやろか?
たぶん一回もあけたことない窓から
光が真昼間さしこむたびに
孤独の影がふくらんでくる。

「一生に一度ひらくという窓のむこう あなたは靴をそろえる」
笹井宏之の窓とハンマースホイの窓はむかいあっている。

窓はみがかねばならぬ。
このクソ寒いのに、おおきなおおきな窓をみがく。
庭の木々が枯れて丸裸やから。
春になって、緑に芽ぶいてくると、
枝もはってくるし、虫がちょこちょこでてくる。
すなわち、大きな窓をみがく作業の邪魔に
なるんです。
窓は冬みがかねばならない。

摂津幸彦に「少年の窓やはらかき枇杷の花」
実は夏やけど、花は冬。白くひっそりと。

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【タイム食句】
フライドチキンの骨はしづかに置かれけり : 山口優夢