北米で純粋培養されるフランス文化

「セックス依存症だった私へ」
カナダの女性監督、リン・シャルボア。
原題は「BORDERLINE」。

ヌーヴォロマンのごとく、心理描写の流れも
丁寧に襞ひだを指で繊細になぞっていく。
おんなたちのトラウマも人間の尊厳にふれざるをえない
部分をきちんとおさえてある。
こんな上質な映画にこのタイトルは?

下品大好き、猥褻ええやないの、
しかし、それは作り手の意図と向かうべき方向が
そっちである場合のこってす。

カナダ人か。
ここつづけて観た傑作が
「戦慄の絆」、監督はクローネンバーグ。
「華麗なる晩餐会」、監督はドゥニ・ヴィルヌーヴ。

三人ともにカナダの監督であると気がついた。
北米のフランスエリア。
こういう形で文化は純度をたかめていくことが
確認できた。