創作料理 世沙弥

新しょうがの甘酢漬け

【たいちゃんめし=その12】

◆新しょうがの甘酢漬け

こどものころから、はじかみが好き。
葉のたっぷり長い谷中しょうがに昂奮する。
吉野家では、しょうが丼にして食べた。
鮨やはトロも煮穴子もいらない、ガリさえあれば。
商売人の家で頑固でケチな父親に
使いたおされていたので、母は料理に興味のない女性だった
ように、いまになってわかってくる。
そんな女が新しょうがでまわると、たっぷりと大皿に
うんざりするほどの甘酢漬けつくって
食卓にでかんと置いた。
夏がくるとおもいだす。
夏はしょうが。
甘酢漬けです。
薄くスライス、これはいけません。
2ミリに厚く。
おとこは酢のとがったところがいや。
酢に砂糖をくわえるときにすこし水もくわえます。
そして、最後にあまってるバジルやミントの茎を
ほりこんでおきます。
これで、ウヲッカもうまい。

・新生薑に口ひひらげど割腹と断腸は根本的にことなる
: 塚本邦雄