2・5
ひとり居て卵うでつつたぎる湯にうごく卵を見ればうれしも : 斎藤茂吉
〜〜立春すぎ立ちっぱなしの半熟
2・4
友死すや啜りて牡蠣のうすき肉 : 小澤實
〜〜腕に刺さったヘロインの針
2.3
人生をお尻に敷いてまたたびの塩辛なんどを漬けておりたり : 山崎方代
〜〜コウモリの羽根食い過ぎてへたりこむ
2・2
寒卵あんな男に呑まれけり : 市堀玉宗
〜〜五臓にもまれなお潰れない
2・1
断面の苺 あなたが見殺しにした真冬から葉書が届く : 魚村晋太郎
〜〜歯型だけのおもいでとなるゆきずり