1・15
開かれて卓上にある一冊の本を囲みて夕餉のごとし : 内藤明
〜〜ちゃぶ台をひっくり返す父よ父よ
1・14
メロンパンの瘡蓋はがす港町 : 長岡裕一郎
〜〜かかとの皮に黒い静脈
1・13
とろとろと古酒をそそげば揺れはじむ器の底の青き魚の絵 : 吉川宏志
〜〜拉致されて異国で呉須のにじむ碗
1・12
吾に食はれ吾になり初むる寒卵 : 野口る理
〜〜一本の管うかうか孵化す
1・11
ジャン・ギャバン昨夜来たかと噂する国道沿いの深夜食堂 : 永田明正
〜〜強面のトラック野郎が通り過ぎ