3・5
朧夜に舌の長さをくらべあふ : 村井康司
〜〜向き合うふたりの鏡地獄
3・4
いいものあげるとくれし月餅の空き箱のなかカイコ蠢く : 江國梓
〜〜満月に脱皮しきれぬ脱皮蟹
3・3
この卵どんなひよこか卵呑む : 和田悟朗
〜〜魑魅魍魎の瓢亭の粥
3・2
法令線は弥勒菩薩にもございます腱ふつふつと煮てふと思う : 辰巳泰子
〜〜コラーゲン頬に埋めこみ若返り
3・1
蕨手は夜見の手それも幼き手 : 高野ムツオ
〜〜羽音かすかに精霊の飛ぶ