3・31
上京や春は傷みしミルク膜 : あざ蓉子
〜〜ターンするたびかさぶた剥がれ
3・30
御徒町トイレの鏡 酔ひふかきわれは似てゐる中尾彬に : 坂井修一
〜〜上祐が今でしょという唇目鼻
3・29
二日酔ものかは花のあるあひだ : 芭蕉
〜〜一夜限りが流連となり
3・28
寂しいと言はず淋しさを知らせ合ふ瞳の奥の魚の光り : 岡井隆
〜〜蛍烏賊ひとりひとりのひろい海
3・27
もし死なば 遊具のコーヒーカップのように : 松本恭子
〜〜テーマパークの廃墟やすらぐ
3・26
豆腐屋が途中にあって春空に引っぱられているような坂道 : 吉川宏志
〜〜さえづりが青き螺旋の宙吊りに