8・25
くだもののように熟れつづけるひとをとりあえず新聞にくるんだ : 笹井宏之
〜〜防腐剤で人間はもう腐れない
8・24
わたくしの瞳になりたがつてゐる葡萄 : 野口る理
〜〜巨峰噴火の眼底出血
8・23
あおなすが糠床に寝る食いごろを卓にいねえぞ母がいねえぞ : 小嵐九八郎
〜〜遊女らのおたんこなすは死語となり
8・22
千年や桃の産毛を形見とし : 恩田侑布子
〜〜くしけずる姫最後のひとり
8・21
音程が狂っています キッチンで何を刻んでいるのか母は : 月野桂
〜〜包丁の錆びるをまずは舌先へ