9・30
スープの皿に針沈みつつゆめわれら知らぬアンダルシアに月照る : 塚本邦雄
〜〜だれにでもある密かなたのしみは
9・29
豚の血の混ざる腸詰め野分立つ : 中山奈々
〜〜吊るし切る肉から笑い声
9・28
賞味期限とうに過ぎたるアブラゲを食つてしまへりやぶれかぶれに : 小池光
〜〜冷凍のおいなりさんのよおしゅんで
9・27
和すことに小さき怖れ檸檬吸ふ : 中島葱男
〜〜だれもかもすだち蕎麦うるさい
9・26
月山に太るあけびらしんしんと霧吐く口をもちてしづまる : 馬場あき子
〜〜むらさきはもののあはれの色 あけび