『陸の果て、 自己への配慮』 遠藤水城

『陸の果て、 自己への配慮』
遠藤水城

目次として、

まえがき
一月六日 − 三月七日
あとがき
三月八日

青森の竜飛岬から福島の南相馬市までを歩く。
自分の足だけで、野宿が基本。
三月七日、立入監視の看板のある地点にたどりつく。
原発から半径二十キロの場所。

〜充分な助走距離はとった。これから、みちのくがはじまる。
〜陸の奥の奥、その果てが最終地点だ。その場所は、絶対的に現れるはずだ。
〜距離じゃない。線量じゃない。(中略)リアルに感受する。
感じ、歩みを止め、そして怖れる。正しく絶対的に怖れる。
〜暗さの方へ。既に心は恐怖に満ちている。
僕は幽霊のように林道に入っていく。
三月八日の一日は、
暗闇のなか手探りでペンを動かしたノートの記述になる。