【 タイム食句】 03・06〜03・10

3・10
黒パンをへこませているゆびさきの静かな午後よ さいごのちゅうちょ : 加藤治郎
〜〜深宇宙へトランジットの深呼吸

3・9
鶯餅作りし人のキュービズム                : 後藤比奈夫
〜〜懲りずに惚れてまう泣く女

3・8
人間の卵はいたく小さしと母に聞きたる時のかなしさ     : 水原紫苑
〜〜大サザエ螺旋の肉のDNA

3・7
わが摘めば人麻呂も来て土筆摘む              : 和田悟朗
〜〜弥生なければ大和の国は

3・6
れんげ蜜もう春の日が恋しくてとろりと紅茶の湯気に落しつ : 久々湊盈子
〜〜地平線の金胡麻畑に蜂1匹