3・15
煮えあがる肉の全貌春の宵 : 木之下のの
〜〜どこの部位だかだれの部位だか
3・14
死刑廃止論さながら春の夜の蛤(はまぐり)の鍋ふきこぼれたり : 黒瀬珂瀾
〜〜冤罪の砂噛みつづけ砂を吐く
3・13
竹の子のうしろの夜が紙のやう : 鴇田智哉
〜〜書割のむこう姫の手招き
3・12
早春のレモンに深くナイフ立つるをとめよ素晴らしき人生を得よ : 葛原妙子
〜〜異次元に旅立つ準備素裸に
3・11
美しき冷えをうぐひす餅といふ : 岡本眸
〜〜身体の管に蝶迷い込む