『太棹の響』は文楽三味線、
鶴澤藤蔵の独演会。
<堀川猿廻しの段>のラストには、
大夫の語りもなく、ツレ弾きとふたりだけの
三味線演奏の見せ場がある。
藤蔵と清志郎の演奏は、
まさに絶頂期のモハメッド・アリが
リング上で舞うがごとく刺すがごとく。
迫真の連弾が延々繰り広げられる。
最初の三味線組曲は文楽三味線の見せ場アンソロジー。
文楽敬遠派にも太棹の音だけでたのしめる3時間。
藤蔵さん、1965年生まれの51歳。
異端ともいえる藤蔵の系譜。その魅力が響きに滲んでいる。
であればこそ、独演会では、この脂の乗った時期に、
異ジャンルとのコラボをやってもらいたい。