「撮影したのは1001人のシリア人男性と女性、そして私」
スマホ着信音とともにシリアの虐殺と拷問の映像が
次々と切り替わって編集されるドキュメント
『シリア・モナムール』。
監督は亡命中のパリにいて、
彼自身が直接撮影した映像ではない。
SNS時代の映像の主流はこうなるであろうと予感させる。
内戦の残酷を横軸とすれば、
<1001の映像>が象徴する
千夜一夜物語の縦軸が組み込まれている。
音楽、映像、小説・・・。
過去の織り上げられた芸術へのオマージュ。
歴史に無神経な足跡を残すのは荒ぶる強者だが、
その背景にある人間の心のふるえの連鎖は
弱者のあえぎ、ためらい、よろこび。
スマホの着信音が鳴るたびに、
見知らぬ人の手首があらわれて、
おいでおいでする。