タクシーの運転手さんに聞いた。<駅のうなぎ屋>が名 前で、そのとおり駅の切符売場の小窓と間違う。もし死 刑執行前夜であれば鰻の白焼きを所望する覚悟でいるが、 ここの鰻に出会ったらもう振りかえる人生に悔いはない。 http
歌集『花柄』 : 魚村晋太郎
「ポケットにゆうべの札があつてその札で買ふ朝の真水 を」「映像を公開されて出頭する夜明けをおもふ 靴を 履くとき」。あとがきに<普段、私は花柄のシャツなど 着ることがない>。出会い頃、黒地に花柄アロハの印象。 http:
キャトル・セゾン : 浜名湖
猩猩緋の日没を見送り、曙色の日の出に目覚める。施設 は国民宿舎レベルで期待しない分、発見がいっぱい。デ ィナー、トマトのムースは天下一品。掛川の石山農園。 朝食の地元野菜のポトフはこれだけのために泊まる価値。 http:
『なにわ大阪食べものがたり』:上野修三
旬の食材と俳句を歳時記より活き活きと織り交ぜながら、 しかも毎回簡単なレシピが。文章にしにくい大阪弁が見 事。香(かざ)、余計(よおけ)の表現も嬉しい。「食 は戦いでっせ」と浪速割烹を鼓舞し続ける。大阪の誇り。 http
オー・ミラドー : オーベルジュ
ペンションとどう違うねん、といいたくなるところしか 関西では知りません。さすが箱根。1986年からとい うからもう20年の草分け、かつトップランナーであり 続けるパワー。勝又登氏はシュフというより辣腕実業家。 http:
ルナ・カレンダー : 旧暦
月の満ち欠けのカレンダーを掛けた。元日、日の出前の 紺青の空にくっきりとお月さん。月を意識すると日本人 の生活は旧暦が理にかなっているとわかる。正月から全 ての風習、美意識を太陽暦とすりあわせるのは所詮無理。 http:
『生物と無生物のあいだ』:福岡伸一
ノーベル賞レベルの難解な理論を紹介しながら、文章は 美しい散文詩。ニューヨークがどんなに魅力的か。若き 学者達の生態も興味深い。生命のすばらしさ、生きる事 のかけがえのなさがこんな形式で語られるとは快い衝撃。
もち花 : 黒門の河豚競り
縁起もんの<もち花>を戴く。黒門市場『大鯛』の女将 の手作りで頭が下がる。五穀豊穣祈願の謂われ。飾るこ とで来る年の胡麻の豊穣をお願いしよう。大晦日、黒門 はてっちりの競りで大賑わい。クライマックス大阪万歳。
『怖ろしい味』 : 勝見洋一
開高健の健啖に塚本邦雄のスパイスをふりかけた耽溺感 があり、谷崎潤一郎の食哲学を久世光彦が煮込んだコク がひろがる。食うことは実の生理行為でありながら、形 而上の虚の世界に越境し戯れることで味わったといえる。 ※詳しくは
ロマネ・コンペイトウ : 緑寿庵 清水
ときおり目にも鮮やかな桜の金平糖をもらったりして凄 腕は知ってる。今回は<ロマネ・コンペイトウ>やとぉ。 ワインの香りを再生できるか、職人魂に火をつけるんや ろね。今度<黄金香りごま>の金平糖も作ってほしいな。 http