蛍狩り

蛍狩り
綾部は上林川の上流

川面より舞い上がった蛍が
上空高く乱舞。
暗い森が光にゆらゆら揺れる幽玄の怪。

すれ違いざま、影の男がぬっと腕を突き出す。
握った拳から蛍が飛び上がる。
手づかみ、次から次と、
裸の胸に飛び込む。
レースの服にとまって宝石となって光つづける。

ここでは、川をみおろして蛍をみるのではない。
空をみあげて蛍の光を追っかける。
星の煌めきと蛍の点滅が交差して、
天の川が蛍川になっている。
北斗七星のひしゃくで金魚すくいならぬ
蛍すくいの経験ができる、まさに幻想の世界。

求愛のためにお尻をひからせて飛び交うなんて
あはれ、あはれ。