「出番です」
「待ってました」
調子のいいしゃべりが聴こえてくる。
噺家、笑福亭仁勇の葬儀がはじまっていた。
突然の訃報だった。
えっ? だれが? まさか? なんで?
59歳、まさに還暦。
ボランティアに捧げた生き方だった。
本業の落語に。地域の活動に。
世沙弥の石磨きイベントには、何回も参加してもらった。
きっかけは映画。
「ナナゲイ(十三第七劇場)で観客三人だけやった」
FBにかきこんだら「その一人は僕です」。
その反応の主が仁勇さんでした。だからFB友だち。
繁昌亭でも販売している上方落語協会広報誌
『んなあほな』の名付け親も仁勇さん。
最後の挨拶に立ったのは兄弟子の仁智さん。
『彦八まつり』でのアイデアから陰の段取り全てに
初回から20年以上にわたって黙々と献身的だったことを
披露した。
地域のおいては、文字通り時を惜しまず、身を削っての
多岐にわたる活動に、参列のだれもが涙した。
ひとの一生は幸せのよろこびも不幸の悲しみも
誰もがプラスマイナスゼロ。
仁勇さんには嘘や、これからや。
社会に尽くす、人の世をすこしでも高みに。
そう考えていきてきた日々が幸せそのものやったんやね。
♬宮さん宮さん
ご陽気な三味線のお囃子連中の実演が響くなか、
棺は見送られた。
寒波のつづいた冬空の青が冴え渡っていた。
合掌。