『おへそはなぜ一生消えないか』 武村政春 :
http://www.shinchosha.co.jp/book/610352/
リ・ド・ヴォーは仔牛の胸腺。それもなんとなく知識の隅っこに
あったけど、喉仏の下の部分というのが、いつもまにか喉仏自体を
リ・ド・ヴォーと刷り込まれていた。
その刷り込みのおかげで、口にいれ、それが己の喉元をすぎるときに
かすかな罪の意識が旨味を倍増してくれていた。
だれのルポだったか。
ある街に滞在していたら犬がいっぱいいるのに、
不思議ことに街は静寂で犬が全く吼えない。
遠吠えがあまりにうるさいので喉仏を切除した。
昔、赤犬を食べる習慣のなごりで、その喉仏をたべたら、
あまりにおいしかったので、その街の人々は犬の喉仏を
食べるために犬を飼うようになった、といった内容だった。
あれはノンフィクションだったのか、逆らう奴は黙らせてしまう
独裁者支配の寒い国の童話だったのか。
そんなおいしい記憶が重なって、リ・ド・ヴォーを喉仏と
思い込んだんでしょう。
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◆サケのオスは腹上死する運命。
全力で体外受精をやり終え、その次の瞬間には
力尽きて命を落とす。
余計な”人生”に無駄なエネルギーを使ったりはしない。