山口瞳の本を30年ぶりに読んだ。
こころに沁みた。
サントリーCMでも夕刊フジでも、若いサラリーマン
諸君に贈るメッセージであり、入門書だった。
それならば、なんでええ歳こいて、いまさらに。
『行きつけの店』。グルメガイドだ。
読み流せばいいだけなのに、それができない。
一軒一店でさらりと流れてゆく時間と人の情が
クイクイと胸に騒ぐ。
「私にとって大事なのは、それが料亭であるとすると、
その料理が美味い不味いよりも、店の雰囲気や従業員の
気ばたらきのほうである。それと縁というものを大切に
したいと思っている。そうして従業員の気ばたらきの
いい店の料理は、これはもう間違いなく美味なのである」
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◆私は、旅館、料亭、小料理屋、酒場、喫茶店などは
文化そのものだと思っている。そこで働く人たちも
文化である / 山口瞳