シェフのルーツがわかる『ふれんちん』

スカパー<食チャンネル>で目にとまったフレンチ。
『ふれんちん』に早速いこう。場所は辺鄙なところ。
”隠れ家”風はいまどきのキャッチフレーズだが、
ここはおじいさんが製麺所をしていた場所で、住居は
そのまま活かしてある。九谷の骨董食器も石川出身の
家系のルーツである。

一皿目にでてきたトマトが都祁村塚原農園のもの。
ここは和田萬が七年前に一番最初にゴマの国産栽培を
はじめてお願いした農園である。
偶然が味にうまみを加えてくれる。

最近続々と華々しい職歴をかかげたフレンチが登場。
しかし、瀟洒なしつらえの高級感は似たり寄ったりで
個性もなく、マニアル先行のソムリエの表情のうすっぺらさ。
シェフの顔がみえない。
それに比べれば、ふれんちんのオーナーシェフはまだ32歳。
近々、両親の経営していた中華の店を改装して飛躍の準備。
それもこれも、段階が地についていて好感がもてる。

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◆「新しい家はきらいである・・・
  死者とともにする食卓もなければ
  有情群類の発生する空間もない」
   田村隆一