新作能『沖宮』を金剛能楽堂で見た。
石牟礼道子の<言霊>と志村ふくみの<色霊>の
共振、響き合いである。
能の余韻がさわさわと肌理をさわがすままに
二人の対談と往復書簡『遺言』を読みはじめた。
2011年の東北大震災の後から、
この沖宮ははじまっていた。
『苦海浄土』と『一色一生』のふたりが
日本の社会、いや生類の未来を賭けて語り合い、
新作能を紡ぎあげていくプロセスが詳細に
時間を追って明かされている。
石牟礼道子は2018年、この能の舞台上演を
間近に90歳で亡くなっている。
志村ふくみは今96歳。
<色霊>を畏れよ。