小屋の前はすでに葉桜。
『義経千本桜』はスルーして
3部の藤蔵・織太夫の<蝶の道行>。
ジミヘンにすぐる太棹。
ドミンゴを超える浄瑠璃語り。
〜女蝶男蝶と浮かれ来て、
たちまちに狂い乱れる地獄の責め。
江戸の作劇は死の匂いたちこめ、
大衆がやんやの喝采。
ならば文楽は現代にも、うけるはず。
2月に森村泰昌が『人間浄瑠璃』に挑んだ。
現代美術家の果敢な実験を受けて立ったのは、
勘十郎・清介・織太夫。
三業のトップがバトルを繰り広げたからには、
文楽の世界には、もっともっとあばれて、
やんちゃする土壌が醗酵中と期待していい。
帰りの宗右衛門町、
桜シベだけが無残に踏まれて、
それでいいのだ。