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*夢違観音 :大宝蔵院の観音菩薩立像(夢違観音)
その優しく清々しい表情、しなやかな曲線美
この夢違観音は、東院夢殿の後方に建つ絵殿の本尊として伝来しました。
夢違観音と呼ばれるのは、このお像を拝めば、悪い夢を良い夢に変えてくださる。

*アイタタ観音:播磨の法隆寺・鶴林寺の観音菩薩立像
伝説に、この像を盗んで溶かそうとした賊が 腰を槌でたたくと 「あいたた」 という声が聞こえたため 賊は驚き 改心して像を返した、とある。
アイタタ観音の名は この伝説から由来するが、たたかれた腰は 曲がったままということになっている。

幼児は、人を救おうなどと思って 微笑んでいるわけではない。
しかし 幼児の無心な微笑みに接するとき、人は 安らかな気持ちになる。
こっちも楽しくなる。

アイタタ観音の微笑みも、そういう幼児の微笑みに近い。
この微笑に接すれば、悩みを打ち明け語りかける前に 心が和んでしまいそう。
そんな悩みなんか 吹っ飛んでしまいそう。

朝鮮半島の優れた仏師の手になる飛鳥仏から その技法を学んだ日本人の手になる天平仏へと 移り変わる過渡期に、親しみのあるお顔と 古拙な香りを残すお体を一体に持つ この聖観世音菩薩・アイタタ観音は、畏仰と愛慕の交錯する見事な調和の白鳳仏として 生まれたものであろう。