お嬢様ベッドでお化けのはなし

・夏のはじめに男一人を調伏せり
なびく白蚊帳天衣のごとし  :  塚本邦雄

血を吸うのはメスだけ。オスは吸いません。
蚊帳はなにも消え去った日本だけの暮らしの道具
ではありません。
クレオパトラも愛用した。奴隷も愛用した。
古来より蚊が多いのは熱帯、湿地帯と決まってます。
マラリアとは古いイタリア語で<悪い空気>という意味。

ゴマ買い付けにスーダンに出張したとき、
蚊に注意せよ!
異常なくらい忠告を受け、電池式ベープ、除虫菊蚊取り線香、
ムヒを大量にリュックにつめこんだものだ。

エチオピア産ゴマはうまい。
しかし一時残留農薬問題で輸入ストップとなった。
栽培中に農薬は使っていない。マラリアが蔓延しているので
保管倉庫のぐるりに害虫除去のために農薬をまくのである。

ベッドを白いカーテンで取り囲むインテリアが
<お嬢様ベッド>とほざきつつ紹介されてる。
ゴージャス演出でインテリア消費をあおりたてる
商魂があほらしい。
あれはむしろ蚊の予防の実用性で、
蚊帳の外国地方文化です。

日本には日本のくらし。
御簾をかけ風をよびこんで、
蚊帳をつってお化けのはなしをした短夜が
ほんのついこないだまであった。