萩の花をふりはらって、おはいりください。

ことしの夏のはじめ、すこし花がほしいと思った。
萩はどうですか?
庭師のアドバイスもあって、
世沙弥の玄関のすぐ脇に、一群れ。
青肌の樹の下にも一群れ。

旧暦でいう八月にはいると
ちっちゃな花芽がついてきた。
と、見る間に赤い花がいっぱい。

玄関を通せんぼするように植わっているので、
はいろうとすると、服にすれて
小花がこぼれおちる。
なるほど、いにしえならば人がとおるたびに、
衣ずれに萩が散りしいたことだろう。
それをみて、ああ今宵いとしい逢瀬があった
、とうかがえる仕掛け。