北島三郎ショー、新歌舞伎座へ。
<北の漁場>。
荒れ狂う波間に大揺れの船の演出は、
蜷川歌舞伎「十二夜」のオープニングの難破船より
圧倒的な迫力で大衆演劇のスケールをみせつけた。
そのあとで、日本全国のまつりシーンが次々に大スクリーンに
うつしだされると、日本人の魂が昂奮してこないわけがない。
いよいよ、爆発寸前でラストの幕があき
巨大ドラゴンでさぶちゃん登場。
<まつり>
~~男は祭りを そうさ
かついで 生きてきた
山の神 海の神
今年も本当に ありがとう
白い褌 ひきしめた
裸若衆に 雪が舞う
祭りだ 祭りだ 祭りだ 豊年祭り
土の匂いの しみこんだ
伜その手が 宝物
(作詞:なかにし礼)
ドラゴンは前へ前へ。
舞台を侵略し、三階席まで首はとどき、
さぶちゃんがその先端で熱唱しつづけるのである。
歌舞伎の宙づりなんか子供だまし。
北島三郎大衆演劇の荘厳さは神殿のギリシア悲劇をしのぐ。
那智の滝の神がかりとナイアガラの自然の脅威を
総合したアートや。