酒飲み、呑んべえの短歌は多い。
酒は静かに飲むべかりけり、の牧水を筆頭に
吉井勇、山崎方代、石田比呂志。
現役は佐々木幸綱、高野公彦。
豪快派とうまいアテ派にわかれる。
さて、最近の若手は、酒どころか食も貧困。
はじめて目がみえるようになったシーンが
カップラーメンだった子供たち。
ちがって当たり前か。
田村元の歌集には、
30代、働き盛りの男の酒のシーンが多い。
お酒がすき。それでいて後味はさわやかである。
・気にいられやすき人にて
居酒屋でたまにもらって帰る焼き海苔
・男二人朝からビール飲みながら
羽田の空に浮き上がりたり
『北二十二条西七丁目』から
食い物の変化球歌をもうすこし紹介しておこう。
・かまぼこのように月日を刻みつつ
時に分厚い一日に会ふ
・島耕作にも坂の上の雲にも馴染めざる
月給取りに一つ茶柱