『ブリキの太鼓』 ディレクター カット版

『ブリキの太鼓』 ディレクター カット版。
以前観ている劇場カット版の細部はもう忘れていますので、
えらそうなことはいえませんが、
最初の奇妙なテイストと衝撃鮮度に加え、
さらに30分延長の監督のサビが味わえます。

浜辺のロープをたぐりよせると、
大きな馬の斬殺された頭部。
その首から、口から、鼻から
うなぎを吐き出させるシーン。
もちろん、そのあとキッチンで調理するシーンに続く。

病院のホルマリン漬けの胎児が床に転がる。
主人公オスカルが自分が産まれ出る前に、
母の子宮から外界をうかがう。

いくつかのグロテスクにエロスとタナトスを暗示するシーンが
シュールリアリズムよりも、土着性で寺山修司の匂いがします。
フォルカー・シュレンドルフの監督作品は1979年。
寺山の天井桟敷『大山デブコの犯罪』、映画『田園に死す』の一連作品は
1970年前後。寺山の活動が先にあります。