・群れをりて朗らかなりし少女らはひとかたまりの拒絶のような
2012年現在の少女群像をまのあたりに、なまなましく。
服部文子「In this place ここで」の歌集には、
社会現象を、眼球をむきだしでみひらいて
真向かう視線があふれている。
この前の歌集には
・リンデンバウム花咲く闇にみひらきて赤子のアドルフほほゑみたらむ
平井弘さんの解題の文章が鋭い。
~~哲学を学んだ人の歌は、解析するに適い、かつ耐えうるが、
歌の解析はわたしになじまない。まるごとそれは受容するものだと
する考えに与する。だから、この歌にニヒリズムよりも、
悪あるもまた自明とおう平易を見る。
悪あることをもまる呑みにする受容をよろこぶ。
これは解析とは真逆の未分化、観念よりもむしろ情動というにちかい。
赤子のアドルフのほほえみはあくまで無垢である。~~