10/31
紅葉のなかに欲るもの一盞の酒そのほかにたとふれば首級(くび) : 塚本邦雄
~~父の首欲りて酔う弟、兄は吐く
10/30
秋風や模様のちがふ皿二つ : 原石鼎
~~ひびの欠けから漏る独り言
10/29
名残とはかくのごときか塩からき魚の目玉をねぶり居りける : 斉藤茂吉
~~舌先にくすぐったいよ鯛の鯛
10/28
くちばしの一撃ふかき熟柿かな : 津川絵理子
~~あかあかと照る木守りの空
10/27
30の半ばですでに晩年のひとがしずかにねだるカルピス : 吉岡太朗
~~ニューバージョン”初恋の味”酢の臭い
10/26
鳥食(とりば)みに似てひとりなる夜食かな : 能村登四郎
~~たましい咥え月影を舞う