尼崎の殺人事件であぶりだされること

最近世間を騒がせている大量殺人事件。
場所が尼崎。
わたしの住んでいる塚本の隣の駅である。

何十年にもわたって、親族とそれ以外にも
そですりあった他人の一族がらみが殺人事件に
まきこまれていったという。

ガルシア・マルケスやドストエフスキーの世界ではないか。
まずおもいうかんだのは、
車谷長吉の『赤目四十八滝心中未遂』。
人生に絶望した男がながれついたのが尼崎。
鳥の臓物をさばき串にさしている背なかがみえてくる。

取材のなかで、近所の住民が
そんなこと、あそこだけやあらへん、
しょっちゅうあちこちであるけど、
警察なにもかもてくれへん。

事件そのものよりも、
街の病気がつぎつぎとあぶりだされてくる。