相澤啓三 『光源なき灯台』
高見順賞の詩集『マンゴー幻想』が2004年。
そのあとも詩集は多い。
歌集は2003年『風の仕事』以来ですから
9年ぶり。545首。
第一詩集が1961年ですから、
半世紀以上の創作持続力。おおっ。
美学、哲学が通低音に響りわたっている歌集ですが、
かるがるとした語りとどこかとぼけた味も。
・オルゴールのスイス民謡不意に鳴りミステリーならば死なむこの夜半
・整髪を了へて鏡がうつしだすよそよそしかもわれの死顔
・気忙しく乗り換へてゐし四谷駅なすことなければ端まで歩く
・原節子去りし辻俯瞰するアングルありてバアの細窓
・伝説に矢頭保はなれどもわが眼前に彼の死にしアパート