・正坐して蠅叩きもつ父に耳毛 : 大象

食句塾。

・俎板のない晩めし卯の花腐し : 磯菜

いまや俎板や包丁がないぐらいではおどろきません。
しかし、<卯の花腐し>のぬるだる感がこのキッチンには
充満していますね。

卯の花はおからです。
おからを卯の花というのは関東のことで、むかしの大阪は
<きらず>とゆうてました。
おからは包丁を使わんと切らないで食べられるから。

俎板がない、包丁がない、きらず、卯の花・・・
連想がころがっていきますね。

ついでにいえば、おからは、しぼりかすの<から>。
丁寧に、おから。
空っぽはあきませんから、
芸人さんはおからのことを<大入り>とゆうそうですよ。

席題は「汗」。

・産毛倒し倒し汗のひとしずく : 主水