湯殿山から『奥の細道』へ

芭蕉の『奥の細道』。
道の奥であるみちのく東北地方を
漫然と歩きつづけたわけではないでしょう。

奥伊勢とよばれた出羽三山の別格にあたる
総奥の院ともいうべき湯殿山参詣して3句。

・涼しさやほの三か月の羽黒山
・雲の峰幾つ崩れて月の山
・語られぬ湯殿にぬらす袂かな

つづけて聖地本を。
『聖地感覚』 鎌田東二
『聖地巡礼』 内田樹・釈徹宗
『日本の聖地』 植島啓司

植島はこの本の湯殿山の項では、
岡本太郎の『修験の夜』という出羽三山の記録を
紹介しており興味深い。

~~修験道の過酷な精神、たけだけしい修業のあり方は、
大陸の高度な精神主義が入ってきてから現れたストイシズム、
つまり仏教の影響だとしか思えない。
苦行によって高まるとか、力をかちとるというのは、
どうも日本本来のものとは感がえられない。
この風土の初源的な信仰はそんな精神主義とは無縁で、
はるかに平たく、生活的だったろう。~~