『ゆれる』
2006年公開の映画をやっと観ました。
監督の西川美和をみいだしたのは是枝裕和。
彼女の第一作『蛇イチゴ』から制作もひきうけている。
是枝のことは別の機会にして、西川美和。
脚本・監督ということで、彼女のオリジナルであり、
あとでノべライズしています。
カインとアベル。
藪の中。
ゆれる。
恋こころがゆれる。
川面がゆれる。
肉親の愛憎がゆれる。
遊具がゆれる。
警察の面会室で硝子越しに
兄と弟との対面シーン。
日本映画でこれをもちこたえる役者がいた。
それをあらしめた演出の冴えを
誉め讃えるべきでしょう。
モチーフとなる吊り橋が、ゆれる、ゆれる。
・滝、三日月、吊り橋、女体 うばたまの闇にしづかに身をそらすもの : 高野公彦
・何といふ顔してわれを見るものか私はここよ吊り橋ぢやない : 河野裕子
・こゑ嗄れて晩夏病みゐるわが部屋にひわひわと絵葉書の吊橋 : 塚本邦雄