庖丁買いに、尚台h

包丁を買いにいく。

デパートでもたまたま通りかかった刃物売り場で
ゾクっと後ろ首をわしづかみにされたように立ち止まる
ことがあります。
原初、獣を切り刻んだ記憶の断片が
DNAに残されているのでしょうか。

天神橋なら、国重。
道具屋筋なら、一文字。
錦にでかけたら、有次。
ずらり並んだクールな刃先に魅入られて、
ショーウインドウの大硝子にうつる呆けた男に
気がついて吾にかえることがあります。

実際に購入するのは、
天満の『尚台正吉』。
プロの職人さんから教えてもらって以来、ずっとここの
包丁をつかいつづけています。

パンフレットには、
<庖丁>の正字で表記されています。
庖は、くりや。キッチンのこと。
丁は、園丁、馬丁のあつかう人のことですね。