『ええから加減』の田村孝裕

『ええから加減』の舞台。
藤山直美と高畑淳子の
漫才コンビの芸道もの。

大阪の漫才は半分はおきゃくさんが
つくって育ててくれたもんや。
そのとおりに客席がふいて、わいて、うねって
もりあがってくる、こんころもち爽快のええ舞台。

脇の役者がみんないかされて、細部にいたるまで
芸の味がしみ込んだ抜群の脚本。
田村孝裕はまだ若い。
『カーディガン』の作・演出ときいて、なるほど。

藤山直美は生まれながらの怨念の存在。
役者としてしか生きていけない<あはれ>が
50歳をすぎてますます醸しだされてきています。
今回の高畑淳子も、『かたき同志』で競演した三田佳子も
その身内にながれる<かぶく血>が呼び覚まされて、
つややかな演技に昇華されてくるプロセスがみえてきます。

脇の逢坂じゅん、レッツゴーじゅんがええ味だしてます。
『半沢直樹』でもたった1回、ちょい役が全部を食ってたもんね。