ざくろをもらう。
甥っ子がトルコからきのう持ち帰ってきたおみやげ。
10年ほど前には毎年トルコに通っていた。
季節は10月。
地中海沿岸にゴマの実が熟るとき。
それは、ざくろの爆ぜる季でもありました。
真っ赤なざくろジュースを豪快にあおる。
口からこぼれて真っ白なTシャツが赤く染まった。
薄田泣菫に<石榴の誘惑>という一文があります。
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藍碧の秋の空に、爆ぜ割れた石榴の実が、梢高く懸つてゐるのを
見る時ほど、自然の放胆さに驚異と危険とのごつちやになつた感
じを抱かせられることはありません。日光と微風との嘗めるやうな
愛撫を見てすら、焦だたしさと嫉妬とを覚えるのもこの時です。
(中略)
外殻は砕け、紅玉の実はばらばらに飛び散ります。--美しい
果物を潰したといふよりも、もっと貴重な、古渡りの赤絵の支那皿
をとり落として割つたやうな口惜しさと後悔とを、しみじみと味はは
されるのはこの時です。
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・ 露人ワシコフ叫びて石榴打ち落す : 西東三鬼
・隣人を窺いながら盗るザクロ : 金原まさ子
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