桜隠しの蕎麦

・ちちははに桜隠しの夜なりけり : 宮坂静生

<桜隠し>は桜の季節に振る雪のことをいう季語です。
俳句関係の本をよんでいて、
突然木曾の蕎麦屋さん『時香忘』をおもいだしました。

ここのご主人があみだしたのが
『桜隠しの蕎麦』
さらしな粉に打ちにくい粗挽きの蕎麦の実をたっぷりといれて、
真っ白のなかに桜の 幻が見え隠れする風情。
変わりそばといえば、ただただ珍しいものや高価な素材で
おどろかしてやろう、という傾向にはしりがちです。
こんなかたちで、蕎麦本来の風味をひきだしながら、
季節の移ろいを蕎麦であじわってもらおうとする姿勢に脱帽。