佐藤優 『サバイバル宗教論』

(前略)
〜アメリカというのは思想的に十九世紀がない国です。
これに対し、ヨーロッパの特徴をつくっているのは
十九世紀のロマン主義です。(中略)
ヨーロッパは多くの戦争を経験することで、人間には
非合理な要素があることを感じるようになります。
それで、森の生活とか、中世とか、あのころのほうが
よかったんじゃないかという後ろ向きのロマン主義的な
発想がでてきます。(中略)
アメリカはこのロマン主義を経験していません。ヨーロッパで
ロマン主義が流行している時期にフロンティアの開発を
やっていました。その意味で、アメリカというのは、合理主義の
精神のままずっと二十一世紀まで来ている国なんです。
非合理な要素とか、理屈でわからにもののことがよくわからない。
だからアメリカ人は、お金が好きだし、出世が好きなんです。
それ以外の価値がわからないのです。(後略)〜

佐藤優 『サバイバル宗教論』
臨済宗相国寺において、僧侶を対象に四回の連続講義を
行ったもの。
仏教専門家に対象に、キリスト教の視座から見た現下の
危機に対する克服の処方箋について、の内容。