6・15
舌も胃も失くしたのちも人は人 樹洞ゆたかに開くみたいに : 田中ましろ
〜〜象皮病かくしとおして梅雨の象
6・14
真青な中より実梅落ちにけり : 藤田湘子
〜〜光と風に陵辱されて
6・13
並びたる徳利かたせよ君と我は鰻重の蓋を同時にひらく : 佐佐木幸綱
〜〜腹裂きの絶滅危惧種に黙祷す
6・12
ゆふぐれのはじまるころのところてん : 渡辺松男
〜〜虹を解体してこんなもん
6・11
交尾するときはあんなに美しいなめくじに白砂糖かけっぱなし : 笹井宏之
〜〜きめては塩で舌評価せむ