塚田の『aqua』は『仰臥漫録』 である。

・糸瓜咲て痰のつまりし佛かな : 子規

正岡子規は35歳、若くして死んでいます。
ずっと寝たっきりでエッセイや日記を書いていました。
『仰臥漫録』 は死の一年前から直前までの日記。
食い物のこと、痛み、不満、呻き、失望、
そして草花のスケッチ、俳句、短歌。

歌友、塚田哲史さんから個人誌『aqua53』が届きました。
短歌、エッセイ、そして地方にのこる
盆踊りや念仏踊りを採譜(地道な民族学的資料)。
この3部構成の小冊子。これが53号になります。

・「コーモン」のコに点つけて「ゴーモン」
とすれば楽しき雨の日である。 : 哲史

・いちじくの知軸乱れて間諜の
浮かれ出でたり松田病院 : 哲史

20年前に腎移植をした身体でここまできて、
どうやら推測するにここ数年、痔に苦しめられている様子。
同情などはご無用。
近隣の消えかかる村村を歩きまわって、
太鼓や笛のリズムまで譜面に残そう
としている姿はヒーローです。
そんなことをおもっていると、
この<aqua>が子規の 『仰臥漫録』にも
みえてきました。