南輝子の鎮魂


8月は魂鎮め。

戦争終結後、
ジャカルタで53人の日本の民間人が
虐殺されました。
その製紙工場の責任者である若き青年は
見せしめに酷い殺され方をしました。

事件はなかったことに。極秘の判子で歴史の闇に。
それから何十年後、密林の村はずれで、
生まれてはじめて父と出会いました。
待っていたのは、黒いシャレコウベ。
うかつにも髑髏は白いものと決めつけていた。
土から掘りだしたとたん、
黒い髑髏は黒い粉をなって、
風に散っていきました。

南輝子さんとは、ある歌会で出会いました。
真っ赤に燃えつくす8月の色の短歌と油絵の作家です。
ひとにはそれぞれに
かけがえのない鎮魂の時がながれていきます。